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用語解説#03

2021年10月03日(日) 17:02:25
普段音楽業界で生きていると、当たり前のように使っている言葉が実は業界用語だったりして、一般の人々には全く通用しない、という現実に遭遇することがあります。ディスカバー・クイーンの番組中でもちょいちょい口にしてしまうこの言葉たち。皆さんも、何となく理解していただけているとは思うのですが、今回は私の中での定義、のようなものを述べてみたいと思います。

というわけで、今回の用語解説のテーマは、

Aメロ、Bメロ、サビ(Cメロ)

楽譜を読みながら複数人のミュージシャンがリハーサルをするとき、お互いが音楽のどの部分について言及しているのかをわかりやすいように、楽譜には「リハーサル番号」が記されています。クラシックのオーケストラ曲等は最初の部分からA,B,C,D,E~と順番に記されていることが多く、その文字自体は記号であり、機能的な意味合いはないのですが、ロックやポップス曲の場合は楽曲の構成がある程度限られるので、A,B,Cといった文字が楽曲の中でどういった機能を持った部分なのか、という意味を持つようになります。

例としてQUEENのヒット曲、Killer Queenを見てみましょう。

A部分:She keeps her Moet et Chandon~

B部分:Caviar and cigarettes~

C部分(サビ):She’s a Killer Queen~

このように、Aは歌いだしの部分、Bは少し展開してサビへと導く部分、そしてCは楽曲の要となるサビという、A,B,Cそれぞれに楽曲にとってのかけがえのない機能があることがわかります。そして、この機能の分け方はロックやポップスの多くの楽曲に適用できるのです(もちろん例外もたくさんあって、Bがサビのこともあれば、Dになるまでサビが来ないことも…)

そんなわけで、このA、B~といった文字にメロディーを略した「メロ」をくっつけて、Aメロ、Bメロ~なんていう風に親しみをこめて呼んでいるのです。

この考え方は主に日本で使われているもので、英語圏ではAメロはverse(ヴァース)、サビはchorus(コーラス)なんて呼び方をします。ただ、それではBメロはどう呼ぶのか、という問題が出てきます。bridge(ブリッジ)と呼ぶ人もいますが、場合によってはbridgeは大サビを意味することもありますし、verse2等にしてしまうと2番のAメロみたいにも見えてしまい紛らわしいです。

そこで私が海外で、英語ネイティブの楽譜の読めるミュージシャンに楽譜を用意するときは、日本と同様にA,B,C,guitar solo,intro,outroといった表記を使っているのですが、全く問題なく伝わります。彼らはその際には、コードネームを表すアルファベットと区別して、letter A(文字のA)、letter B(文字のB)というように呼んでいます。