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用語解説#02

2021年09月19日(日) 15:34:31
4月に始まったディスカバー・クイーンも今月9月で6か月。半分まで来てしまいました。最初は自分でも「こんなマニアックな話をラジオでしていいんだろうか?」などと思ったものですが、番組のプロデューサーさんやディレクターさんから「もっとやってください!!」と励まされ、サンプラザ中野くんにも面白がっていただき、そして何よりリスナーの皆さまに楽しんでいただけていることがわかり、大変に勇気をいただいています。

さて、今月9月12日と19日の放送では「逆再生した音源にディレイやリバーブをかける」といった実演をしました。実際の音の効果や話の文脈からも、なんとなく理解できているという方も多いのではないかと思いますが、ここでひとつ整理しておきましょう。

というわけで今回の用語解説のテーマは、

エコー、ディレイ、リバーブ(echo, delay, reverb)

どれも音の反響を表す言葉として使われますが、それぞれ少しずつ意味が違います。

まず一番わかりやすいのがディレイ。Brighton Rockの中間部のギターソロのように、やまびこ的な、明らかに元音が遅延して聴こえてくるような反響音がディレイ。

次にリバーブですが、学校の体育館の中とか、温泉の大浴場の中で両手をパン!と叩くことを想像してください。音が響いて、パア~~~ン!ってなるでしょう。この効果がリバーブです。ディレイと違って、具体的な遅延音が聴こえるのではなく、ふわっとまとまった響きが滑らかに消えていきます。

最後はエコー。エコーという言葉は使われる場面によって意味が変わります。

まず、ディレイとリバーブをひっくるめた残響全体のことをエコーということがあります。これは主にプロのレコーディングの現場で使われることが多いです。「このミックス、エコー感がいいね!!」などと言ったりします。

そして、ディレイと同義語としてエコーが使われることもあります。

例えば日本のカラオケボックスで「エコー多めでお願いしまーす」と言った場合。これはディレイのことです。日本のカラオケでは今でも、あえて品質を落としたディレイ・マシンが使われています。今の技術ならカラオケの装置にもっと高品位のリバーブやディレイを搭載できるはずなのに。他の分野の技術(生カラオケや、ピッチ検出&採点とか…)はどんどん進化しているのに、エコーだけは昔のままです。しかしながら、これはメーカーの怠慢などではなく、お客さんのニーズに合わせているとのこと。古めかしいディレイサウンドに、我々日本人はどこか安心感を感じるからなのでしょう。

実際プロのレコーディングやライブで歌に使われるのは主にリバーブですが、QUEENはThe Prophet’s SongやGet Down, Make Love等で積極的に長~いディレイを使っていましたね。またブライアンもBrighton Rockの中間部のギターソロはもちろん、ライブでのギターソロ時(White Man等)、バッキングギターがいなくなることによるバンドサウンドの薄さを補間するように長いディレイを使う、といった使い方もしていました。これも創意工夫にあふれたすばらしいアイディアだと思います。